インドの販売店・代理店起用時の留意すべき9つのポイントとは?

インドの販売店・代理店起用時の留意すべき9つのポイントとは?

自社のみでインド国内で販売網を構築していくのは、時間もコストもかかる。そこでインド国内の販売店や代理店を起用しながら、もしくは自社の販売網を補完する形で起用していくことにより、より効果的な販売網を構築することが可能である。以下、一般的な留意点を列挙しておく。


1. 独占営業権を付与するか

独占営業権を付与するか、否かは販売店・代理店をコントロールする重要なポイントの一つである。よくある失敗例は、それほど規模の大きくない代理店に独占営業権を付与してしまい売り上げが伸びずに悩んでいる企業は多い。既にある程度の規模があり、先方も御社の製品をどんどん販売していきたいという意気込みがある場合には、独占営業権を付与して中長期的な関係を構築していくのも一つの戦略である。一方で独占状態になるとやはり競争原理が働かず、販売数が伸び悩むケースも少なくない。そこで地域的な独占状態を作りだし複数の代理店を起用するにも一つの方法である。

2. 他社製品の取り扱い状況

自社製品のマーケットシェアと、代理店の中での取り扱いシェアのバランスが重要である。マーケットシェアの高い製品は、代理店も売りやすい。また、代理店が複数社の製品を取り扱っている場合、自社製品の取り扱いシェアが低いと思うように売上が伸びない。自社製品を優先的に取り扱ってもらえるように、広告宣伝の支援であったり、価格面でのサポートやコミッションの料率などを調整する必要がある。インドの代理店は現金な会社が多く、製品の特徴よりもコミッションの料率がよい製品に流れがちであることを理解しておく。

3. 営業エリアの規定

全インドに販売店・代理店ネットワークを有する企業は少ない。多かれ少なかれ、その企業が創業した地域であったり、オーナーが拠点を構える地域などに強みを持っていることが多い。販売店・代理店を起用する際には、何社程度起用するのか?どの地域を担当させるのか?などを戦略的に組み合わせることにより広大なインド市場へのアクセスが可能になる。起用する数があまり多いと、各社との折衝にも時間を割かれ効率的な運営はできない。それぞれの代理店は、できるかと質問すると必ずできると回答するので、他社の動向や第三者から噂を聞くのがよい。

4. 代金決済方法、通貨

販売店との決済は、銀行送金、LCなどいくつかの方法があるが、決済条件は当然だが前払いが最も確実である。インド企業は様々な理由をつけて、送金を遅らせたり、支払わないことも多々あり(もちろん、きちんと支払う企業もある)後払いの条件にすると、後々資金回収に多大な労力と時間を費やす可能性があるからである。決済通貨については先方は現地通貨のルピー建てを希望すると思うが、販売側は為替リスクを取りたくないためドルや円建てを好む傾向がある。通貨については双方いずれが為替リスクを取るかによるので、力関係で決着すると思われるがルピーは対ドルに対して中長期的にルピー安傾向にあるためドル建てにすると現地側で価格が合わなくなり調整の必要がでてくる局面がある。

5. 商標などの使用許諾

自社商標の使用を認める場合には、その使用範囲や適用製品など使用方法の詳細を規定することが重要である。自社と関連しない製品に、自社ブランドを使用して販売されたりすると、自社ブランドの価値や信用を毀損される可能性がある。事前の契約段階で詳細を規定するとともに、適切な使用をしているか適宜チェックする監視体制が必要である。

6. 最低購入量、最低販売量の規定

最低購入量、販売量の設定は販売店側のメリットは少ない。ただし、一方で仕入価格の大幅なディスカウントを要求してくるような場合には、交換条件として設定することも可能である。最初にディスカウントした価格で販売した場合、後日違約金を請求するのは難しく回収できる見込みも低い。よって最低購入量を達成した場合に、差額の仕入額部分も御社が支払うという流れにした方が取引が円滑になる。数字を設定する場合には、御社が設定するのではなく極力販売店側から数字を出させるとよい。その方が目標に対して強制力が働き、数字に対してコミットするからである。

7. コミッションの料率

インドの代理店は利にさとく、コミッションの料率が高い製品に流れがちである。他社製品よりもシェアが低かったり、認知度が低い製品であってもコミッションの料率設定次第では、代理店の営業努力を引き出すことが可能である。ただし、一度高い料率で設定してしまうと後日下げるのは困難なので競合の状況や代理店の営業状況を見ながら調整していくのがよい。また契約期間ごとに見直すなどの条項を設けて、営業成績が低い場合には下げることも可能である。

8. 契約期間、契約解除条項

契約期間は、定期的に契約条件を見直すために一定期間ごとに仕切り直すことが重要である。当該機関での営業成績の評価などを行い、次期の契約条件に反映させていく。たまにあるケースだが、10年以上も前に締結した代理店契約を自動更新で同一条件で使用している企業がある。長期的な信頼関係は重要だが、やはり時代や製品の変遷に合わせて見直すことが重要である。また、見直しを行うことにより契約締結時に見落としていた条項を新たに盛り込んだり、自社に有利なように改正することも可能である。

 

また、契約解除条項は契約上最も重要な項目の一つである。先方に契約違反があった場合には、速やかに契約解除できるようその発動条件を明確に定義することが重要である。また販売店の場合には在庫を保有している場合、その在庫を引き取ってくれといわれることもありどのような条件で契約解除するかは明確にすべきである。契約に記載されていない事項の交渉は難航することは間違いない。

9. 競業避止、守秘義務の規定

販売店・代理店が競合の製品も含めて取り扱っている場合には特に情報の管理が重要である。自社製品の価格を含めた情報が極力流出しないように守秘義務の条項を規定すると共にけん制することが重要である。しかし、インド人は一般的に守秘義務の感覚が薄く完全に流出を防ぐのは困難である。よって、守秘義務と合わせて損害が生じた場合の賠償や対応などを事前に検討しておくことが必要である。また、提供する情報は営業活動に最低限の情報とし不必要に開示しない。また、開示する場合にはそのタイミングをぎりぎりまで遅らせることが重要である。