インドの増資手続きの流れとは?

インドの増資手続きの流れとは?

インドにおいて地場銀行より資金調達を行うと12~13%程度の金利がかかるため、親会社からの増資は主要な資金調達手段の一つである。インドでも日本と同様の授権資本制度を採用しているため、予め定款で定めた授権資本枠内であればいつでも取締役会の判断で新株を発行することが可能である。インドにおいても授権資本枠を変更するには、定款の変更が必要となり株主総会の特別決議(4分の3以上の賛成)が必要となる。上場会社ではないインド会社(Private Company)における一般的な増資手続きは以下の通りである。


1. 授権資本枠(Authorized share capital)の引上げ

定款には予め増資の上限として、授権資本枠(Authorized share capital)が定められている。この枠を超えて増資を行う際には予め授権資本枠を拡大して、その後増資の資金を払い込むこととなる。日本では発行株式が授権株式の4倍までしか設定ができない規制が存在するが、インドではそのような規制がないため理論上はいくらでも授権資本枠を設定することが可能である。しかしながら、設定した授権資本枠に応じて印紙税を収めなければならないため、高額な授権資本枠を設定した場合それだけその費用もかさむため、将来的に必要とならない金額や、直近で必要とならない金額を設定することはあまり合理的な判断とは言えない。授権資本枠を引き上げるための手続きは以下の通りとなる。所要期間としては、約1カ月程度をみておけば余裕を持って手続きが進められる。

  1. 取締役会の開催(授権資本枠の引上げ)
    取締役会を招集し、授権資本枠の引上げを決議する。同時に、同内容について決議を行うための株主総会の日時を決定する。
  2. 株主総会の開催(授権資本枠の引上げ)
    株主総会を招集し、授権資本枠の引上げを決議する。授権資本枠は設立時の定款で規定されているため、授権資本枠の引上げは定款の変更を意味することとなる。よって、定款の変更に際しては、特別決議(Special resolution)が必要となるため議決権の4分の3以上の賛成を得る必要がある。株主が全てグループ会社の場合には特に難しい要件ではないだろう。
  3. 会社登記局(Registrar of Company - ROC )への届出
    株主総会で特別決議が成立した後、速やかに30日以内に会社登記局へ届け出を行う必要がある。届け出に際しては、SH-7という様式を使用し、所定の法定費用を収める必要がある。

2. 払込資本(Paid up share capital)の引き上げ

増資を行うのに十分な授権資本枠があるもしくは確保したあとは、実際の資本金の払込作業に移る。非公開会社の場合には、新規に発行する株式の引き受け手の違いにより株主割当(Rights issue)又は私募(Private placement)に分類される。いずれの引き受け方法でも、非居住者株主はインド準備銀行の株式評価のガイドラインに準拠する必要がある。

  1. 株式評価(Share valuation)
    新規に株式を発行もしくは譲渡する場合、インド準備銀行は外国為替管理法に基づき株式の発行価額は国際的に容認される
    独立企業間価格(As per any internationally accepted pricing methodology on arm’s length basis)でなければならないと定めている。また、同価格はインド勅許会計士(Chartered Accountant)又は、インド証券取引委員会(Security Exchange Board of India - SEBI)公認商業銀行によって証明されなければならない。一般的にはディスカウントキャッシュフロー法(Discount Cash Flow - DCF)を用いてインド勅許会計士の証明書を作成する。
  2. 取締役会の開催(株主割当又は私募)
    取締役会を招集し、株主割当又は私募を決議する。

  3. 資本金の送金
    通常の銀行ルートを通じて、会社口座宛に資本金の送金を行う。送金する際に注意する点としては、インド側ではルピー建てで株式の募集金額を確定しているため送金の際には必ずルピー建てで金額を指定する必要がある。誤った金額もしくは、円建てで送金を行うと為替レートの違いなどにより着金時に差額が生じてしまい返金等の手続きが煩雑になる。

3. 資本金払込(送金)後の手続き

資本金着金後は速やかに以下の手続きを行い、資本金を活用できるようにする。

  1. インド準備銀行(Reserve Bank of India - RBI)への届け出
    外国からの資金受領をインド準備銀行へ報告する。報告に際しては、FIRC(Foreign Inward Remittance Certificate)と呼ばれる証明書を銀行が発行してくれますので、報告書類に添付して提出する。

  2. 取締役会の開催(株式割当て)
    取締役会を招集し、株式の割当を決議する。
  3. 会社登記局(ROC)への届け出
    株式割当より30日以内に速やかに会社登記局に株式割当の報告を行う。
    届け出に際しては、PAS-3という様式を使用する。

  4. インド準備銀行(RBI)への届け出
    株式割当より30日以内に速やかにインド準備銀行に株式割当の報告を行う。届け出に際しては、FC-GPRという様式を使用する。
  5. 株式証書(Share Certificate)の発行
    株式発行の証明として株式証書を発行する。株式証書は当局で印紙税を納付し、その証書を添付してもらう必要がある。