インドの労務トラブルを防ぐ6つのポイント

最近、お陰様で仲間(従業員)が増え少し人事・労務的な仕事も増えて来ました。会社員時代は、管理系業務は会社がやっていたので、当然当時直面しなかったことも多く、体当たりで一つひとつ解決しています。

その中で、私の経験とお客様の業務を見ていてトラブルを防ぐのに重要なポイントをいくつかまとめてみました。

  1. 主要な雇用条件を"Offer letter"及び"Appointment Letter"に盛り込む
    インドは欧米流で基本的には契約書に記載されている事項が全てです。入社前の交渉で合意した事項は漏らさず"Offer Letter(内定通知書)"もしくは"Appointment Letter(雇用通知書)"に盛り込みましょう。法律で決められている権利を除き、契約書で合意していない内容については基本的には会社側に対応する責任はありません。待遇・退職時のトラブル回避の起点になるのが"Offer Letter"と"Appointment Letter"です。

    また、個別の契約に盛り込むことにより管理職など特定の階層や、ヘッドハンティングしてきた従業員などで待遇が一般社員と異なる場合には個別の条件を限定して適用することが可能です。

  2. 共通ルールは"Company Policy"で明文化する
    休暇規定や、出張規定など多くの従業員に共通して適用される内容については"Company Policy(就業規則)"で規定することにより機動的に運用することが可能になります。

    "Company Policy"は全従業員に共通して適用できるので、透明性が高いコミュニケーションができるのが利点です。

  3. 組織における"ノー"を明確に伝える
    従業員がルール違反、もしくは倫理的に容認できない行為を犯した場合には速やかにかつ明確に”ノー”というメッセージを突きつけることが重要です。インド人従業員(インド人だけではないかもしれませんが)は上司の態度を常に見ています。黙認したり、明確な態度を示さない場合にはそれらの行為がエスカレートする可能性があります。

    最悪の場合にはモラルハザードや、不正が蔓延するリスクもあります。

  4. 注意・指導は個別に行う
    インド人も議論にはオープンですが、人前で注意を受けたり、指導を受けることはプライドを傷つけることがあります。

    一度プライドを傷つけると関係修復には時間がかかる、もしくは修復不可能なケースもあります。注意する場合には個別に話し合う時間などを設けて指導する必要があります。

  5. 退職を促す場合には正当な手続きを経る
    退職手続きは特にトラブルになりやすいイベントの一つです。能力不足などの場合には、"Warning Letter(警告書)"などを発して具体的な指摘と改善を促すことが必要です。また最悪裁判などの係争に入ってもこれらの公式なコミュニケーションの履歴が会社側の正当性を立証する材料となります。

    また、よほど悪質な懲戒免職のケースを除き基本的には自主退職という形式をとることも大切です。

  6. トラブルに発展しそうな場合には、専門家に早めに相談する
    労務は早め早めの手を打つことが、後々の係争やリスクの回避につながります。個別の係争もそうですが、工場などの場合特に労働争議、組合結成など予兆を感じられた場合には、早めに専門家に相談し対策を打つことが重要です。

    早めに手を打てれば、労働争議を回避したり早めに妥協案を模索したりすることが可能になります。また、どんな事態でも一旦は相手の話を聞くという姿勢が重要です。